毒舌社長は甘い秘密を隠す
パスタの茹で具合を確かめるために、一本掬って食べる仕草すら絵になる。
この前、アルパくんと添い寝していた姿は誰にも見せたくないなぁ。あんなにキュートな社長は、ただライバルを増やすだけだろう。
それに、体調を崩して弱っていた日のことも……。
彼がなにをしていても輝いてみえるのは、私が恋をしているからなのかなぁ。
「よし、できた」
真っ白な角皿に盛り付けられたトマトのパスタを、彼がダイニングまで運んできてくれた。
「綺麗な盛り付けですね……」
バジルも添えられていて色鮮やかだし、お店のように渦を巻いた盛り付けはお洒落だ。
料理のセンスまであるなんて、社長は完璧な人なのかもしれない。
「いいから早く食べなさい」
「いただきます」
ありがたくフォークでひと口分を巻き、息を吹きかけて火傷をしないように気を付けながら頬張った。