毒舌社長は甘い秘密を隠す

「本当に美味しいです」
「……そこまで褒めてもらえると、作った甲斐があるな」

 彼は、ダイニングテーブルの向かい側に座り、頬杖をついてじっと見つめてくる。


「あの……見られてると食べにくいのですが」
「アルパたちは、俺が見ていても美味しそうに餌を食ってるけどな」
「私はアルパくんではありませんので」
「似たようなもんだろ」

 それは、どういう意味でしょうか? 私がアルパくんと似ているなんて思ったこともない。
 顔がアルパカ似と言われたこともないし……。

 斜め上の答えが返され、フォークを持つ手を止めて考え込む。


「俺が、アルパたちと眠ったりするのは禁止なんだよな?」
「はい。また体調を崩されては困りますので」
「じゃあ、俺の癒しはどこで得られる?」
「……なにか代替案を探していただくほかないかと思いますが」
「俺もそう思っていたところだ」

 よかった。
 毎回、酒席があるたびに社長の様子を確認するために社に残るわけにはいかないし、彼が諦めてくれたらいいと思っていたから安堵する。

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