毒舌社長は甘い秘密を隠す
「ごちそうさまでした」
社長に頭を下げ、キッチンにお皿を下げる。
調理しながら片付けも済ませていたようで、シンクにはなにもない。
先日お邪魔した時に、キッチンを一度使ったからなんとなく勝手は分かっている。
食洗機を使うほどでもないので、スポンジに付けた洗剤を泡立てて、お皿を洗い始めた。
「っ!? 社長?」
「袖。もっと捲らないと濡れる」
「……すみません」
彼がごく自然に後ろに立ち、私の両腕の袖を引き上げた。
一瞬にして耳まで真っ赤になってしまった顔を隠したいのに、両手は泡まみれだ。
「あの、一緒になにか洗うものはありますか?」
「なにもない」
「……そ、そうですか」
もう汚れは落ちているのに、角皿を洗い続ける。
社長が私の背後に立ったまま、やんわりと抱きしめてくるからだ。