毒舌社長は甘い秘密を隠す
「ありがたく頂戴します」
ちょっと目を離した隙に、見知らぬ女性に声をかけられたようだ。
だけど、名刺を受け取って微笑むその表情につい妬いてしまう。
私だって、日頃彼のために頑張っているつもり。それなのに、秘書になってからは片手で数えられる程度しか微笑みを向けられていない。
……この前、彼の自宅で過ごした時は見せてくれたけど。
「社長、面会のお時間ですので」
「すみません。用があるのでこのあたりで失礼します。あなたも素敵な一日を」
私の声かけには視線だけ寄越し、目の前の女性には丁寧に対応して席を立つ。
社長としての振る舞いを心がけてくれるのはありがたいけれど、もう少し私にも興味をもってくれたらいいのにと思う。
「そんなムスッとした顔の秘書は連れて歩きたくない」
「いつも通りです」
ついつい言い返してしまい、斜め後ろから彼の横顔を見上げて後悔した。
社長のことが好きなせいで、仕事まで影響するようじゃ秘書失格だ。