恋を知らない

「ふんっ、でも、もういいわ」

急にその顔に表情が戻ってきた。少し機嫌を直したようだった。

「『めぐみ』ね。いい名前じゃない。うふふ、今日からあたしは『めぐみ』よ。シュウがつけてくれた名前だもの。大事にするわね。さてと……」

「めぐみ」のマリアが二、三歩さがって、間合いをとった。

「どうする? お口で続けてもいいし、さっきみたいに、スカートをめくって後ろからしてもいいわよ」

小首をかしげて、かわいらしい顔で大胆なことを問いかけてくる。

ぼくが返答につまっていると、「めぐみ」のマリアは不敵に笑った。ぼくに見せびらかすように、プリーツスカートの裾の両脇から手を中に入れた。腰の高さまで手を持ちあげると、スカートが逆三角形の垂れ幕のようになった。

「めぐみ」のマリアは前かがみになりながら、もぞもぞと下半身を動かして、下着を下ろしていった。そして足先からそれを抜くと、ぼくの鼻っ面に突きつけてきた。苺の絵がプリントされたかわいらしいパンティだった。

ぼくは正視できず、目をそむけた。

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