「英国の月は、暁に映る恋に溺れる」
理解はしようと思うのだけれど......、どうしても飲み込むことができない.......。
私は”充見先生の死”という事実を認めることを放棄したまま、ひたすらに充見先生のことを思った。
締め切りの日に、ご自宅まで原稿を受け取りに行くと先生はいつも書き上がった原稿を自らA4の白い封筒に入れて、2階にある仕事部屋から持って降りて来られた。
ご自宅に伺った際に私が来たことを先生に知らせてくれていたのは家政婦の三間さんだった。
三間さんは充見 紘成先生が芸劇文学賞を受賞してデビューを果たしてからすぐに先生のもとへやって来ていた。今では家政婦という立場以上に秘書同然の役割もこなしていた。
というのも、充見先生は一緒に暮らされていたお父様を学生時代に亡くされて以後、敷地400坪もある8LDKの生家であり仕事場でもある豪邸にたったお独りで住まわれていた。
弁護士として財を成した先生のお父様は都心の中心部に成功者の証である豪奢な邸宅を構え、何人かのお手伝いさんを雇っていた。しかし、お父様が亡くなった際に皆一斉に辞めた。
それでも、先生にお母様がいらっしゃればきっと事情は大きく変わっていたに違いない。けれど......。
お父様のみならず、充見先生のお母様は先生の物心がつく前にすでにいらっしゃらなかった。
先生のお母様は出産時に我が子の命と引き換えに、この世を去った......。
私は”充見先生の死”という事実を認めることを放棄したまま、ひたすらに充見先生のことを思った。
締め切りの日に、ご自宅まで原稿を受け取りに行くと先生はいつも書き上がった原稿を自らA4の白い封筒に入れて、2階にある仕事部屋から持って降りて来られた。
ご自宅に伺った際に私が来たことを先生に知らせてくれていたのは家政婦の三間さんだった。
三間さんは充見 紘成先生が芸劇文学賞を受賞してデビューを果たしてからすぐに先生のもとへやって来ていた。今では家政婦という立場以上に秘書同然の役割もこなしていた。
というのも、充見先生は一緒に暮らされていたお父様を学生時代に亡くされて以後、敷地400坪もある8LDKの生家であり仕事場でもある豪邸にたったお独りで住まわれていた。
弁護士として財を成した先生のお父様は都心の中心部に成功者の証である豪奢な邸宅を構え、何人かのお手伝いさんを雇っていた。しかし、お父様が亡くなった際に皆一斉に辞めた。
それでも、先生にお母様がいらっしゃればきっと事情は大きく変わっていたに違いない。けれど......。
お父様のみならず、充見先生のお母様は先生の物心がつく前にすでにいらっしゃらなかった。
先生のお母様は出産時に我が子の命と引き換えに、この世を去った......。