言い訳~blanc noir~
 ここのところシャワーばかりだったせいか、久しぶりに湯に浸かると体の強張りが和らぐような気がした。するとこんこんとノック音がバスルームに木霊した。


「ご主人様?」


 扉の向こうで沙織が呼んでいる。


「うん?」


 すると扉が開き沙織が顔を覗かせた。


「私も一緒に入ってもいいですか?」


 いつも一緒に入ろうと誘っても「嫌です」と頑なに拒否するのに。一体どういう風の吹き回しだろう。


「どうしたの?珍し、」言いかけた和樹の言葉が詰まる。


「ご主人様」


 沙織がラブリー猫耳メイドになっていた。


「なんだよ、その恰好」


「シャンプーしてあげます! 私、元美容師だからシャンプー得意なんですよ」


 そう言いながら沙織が浴室に入って来ると和樹の腕を引き椅子に座らせた。


「痒いところございませんか?」


「ないです……」


―――俺は何をやっているのだろう。


 鏡に映る二人の姿があまりにもシュールだった。
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