言い訳~blanc noir~
「すごーい! ラブホテルってこんなんなんだ!」
沙織は部屋に入るとまるで子供が初めて遊園地に訪れたかのように目を輝かせていた。きょろきょろと部屋を見渡し、バスルームに足を運ぶと「ジャグジーだ!」と声をあげ早速バスタブに湯を張り出した。
ラブホテルに来るのは本当に初めてなんだな。そう思うと微笑ましい気になる。
和樹は沙織の様子を眺めながらソファに腰かけ煙草に火をつけた。
「コスプレ?!」和樹の隣に腰をおろした沙織がガラスのテーブルに置かれたカタログを手に取り興味深そうに眺め出した。
「どれがいいですか?」
「えっ?」
思わず口に咥えていた煙草を落としそうになった。沙織に顔を向けるとにこにこと笑みを浮かべもう一度「どれがいいですか?」と訊ねてきた。
「どれって」
「ほら、いっぱいありますよ? ご主人様どれが好きですか?」
「いや別に、これが好きっていうのはないけど……」
「ご主人様ノリ悪いですねぇ。あえて言うならどれが好きですか?」
沙織にカタログを手渡され適当にページをめくると沙織が覗き込むように一緒に見てくる。
「決まりましたか?」
正直なところ別にどれでも良かったが、沙織があまりにも食い下がるため適当に指さした。
「8番……えっと。ラブリー猫耳メイド!! ご主人様、やっぱり“ご主人様”って呼ばれてるだけありますね!」
「え……?」
もう一度カタログに目を向けると頭に猫の耳をかたどったカチューシャをつけ、黒いメイド服に白い腰だけのカフェエプロンをつけたモデルがポーズを決めていた。
「そ、そういうわけじゃないんだけど。適当に指さしただけだよ」
「またまたぁ! じゃあこれにします!」
「これにするって? これ着るの?」
「はい!」
沙織が目を輝かせながら大きく返事をした。
「頼んでください」
「お、俺が?」
「だってフロントに電話するなんて慣れてないし……」
「いや、俺もコスプレのオーダーなんてした事ないよ」
「おんぶに抱っこされますから。お願いします」
「おんぶに抱っこの使い方がおかしいよ」
呆れたように笑いながら立ち上がるとベッドの枕元に置かれた電話の受話器を手に取った。
「フロントです」
「すみません。猫耳ラブリーメイドを……お願いします」
「申し訳ございません。番号で仰って頂けますか?」
顔から火が出るとはこういう事か。和樹は顔を真っ赤に染め「8番」と言い直した。
受話器を置くと沙織が腹を抱えて笑っている。
「沙織はおしおき確定だな」
「おしおきってどんな事するんですか?」
「風呂に入りながら考えてくるよ」
和樹は顔を赤くさせたままバスルームに向かった。
沙織は部屋に入るとまるで子供が初めて遊園地に訪れたかのように目を輝かせていた。きょろきょろと部屋を見渡し、バスルームに足を運ぶと「ジャグジーだ!」と声をあげ早速バスタブに湯を張り出した。
ラブホテルに来るのは本当に初めてなんだな。そう思うと微笑ましい気になる。
和樹は沙織の様子を眺めながらソファに腰かけ煙草に火をつけた。
「コスプレ?!」和樹の隣に腰をおろした沙織がガラスのテーブルに置かれたカタログを手に取り興味深そうに眺め出した。
「どれがいいですか?」
「えっ?」
思わず口に咥えていた煙草を落としそうになった。沙織に顔を向けるとにこにこと笑みを浮かべもう一度「どれがいいですか?」と訊ねてきた。
「どれって」
「ほら、いっぱいありますよ? ご主人様どれが好きですか?」
「いや別に、これが好きっていうのはないけど……」
「ご主人様ノリ悪いですねぇ。あえて言うならどれが好きですか?」
沙織にカタログを手渡され適当にページをめくると沙織が覗き込むように一緒に見てくる。
「決まりましたか?」
正直なところ別にどれでも良かったが、沙織があまりにも食い下がるため適当に指さした。
「8番……えっと。ラブリー猫耳メイド!! ご主人様、やっぱり“ご主人様”って呼ばれてるだけありますね!」
「え……?」
もう一度カタログに目を向けると頭に猫の耳をかたどったカチューシャをつけ、黒いメイド服に白い腰だけのカフェエプロンをつけたモデルがポーズを決めていた。
「そ、そういうわけじゃないんだけど。適当に指さしただけだよ」
「またまたぁ! じゃあこれにします!」
「これにするって? これ着るの?」
「はい!」
沙織が目を輝かせながら大きく返事をした。
「頼んでください」
「お、俺が?」
「だってフロントに電話するなんて慣れてないし……」
「いや、俺もコスプレのオーダーなんてした事ないよ」
「おんぶに抱っこされますから。お願いします」
「おんぶに抱っこの使い方がおかしいよ」
呆れたように笑いながら立ち上がるとベッドの枕元に置かれた電話の受話器を手に取った。
「フロントです」
「すみません。猫耳ラブリーメイドを……お願いします」
「申し訳ございません。番号で仰って頂けますか?」
顔から火が出るとはこういう事か。和樹は顔を真っ赤に染め「8番」と言い直した。
受話器を置くと沙織が腹を抱えて笑っている。
「沙織はおしおき確定だな」
「おしおきってどんな事するんですか?」
「風呂に入りながら考えてくるよ」
和樹は顔を赤くさせたままバスルームに向かった。