キミに嘘を吐く日
「友也、あんたなに宇野と一緒になっていろはちゃんに迷惑かけてるの?宇野も本当にヘタレだね!しっかりしなよ」


目の前の男子2人は突然現れた真打に一瞬唖然となって、その後我に帰って私を見た。


「いろは、ご、ごめんっ、俺……」

「いろはちゃん、ごめん。俺まで一緒になって……」


ようやく2人は私の存在を思い出してくれたみたいだ。

シュン、と同じカッコで落ち込む2人を見ていたら、急におかしくなって笑い出してしまった。

「いろは?」

「いろはちゃん?」

「ほら、あんた達のバカっぷりに呆れちゃったんだよ」


西条さんの溜息に男子2人がえー?と情けない声を上げている。

なんだか、すっごくおかしくてなかなか笑いが止められない。

だって、宇野くんのこんな楽しそうな姿久しぶりに見た気がして。

それって、私にとっても高田くん達にとってもとても安心できることだと思ったから。

離れて行った友人が今の場所で楽しそうに過ごしていたのなら、それは寂しいけど、嬉しいことでもあって。

多分、お父さんとの電話のこともあるんだろうけど、今の宇野くんの笑顔は心の底からのものだと思うと嬉しさの方が大きかった。


「宇野くんが、幸せそうでよかったなあ」

「え?」

「宇野くんが急にいなくなって、すごく寂しかった。ここに転校した理由を知ってからは特に宇野くん自身も寂しいだろうなって……。元気なのかなって、友達できたかなって、1人じゃないかなって、そのことも心配だった。でも、今の宇野くんを見てたら、すごく安心できたよ……」

「いろは……」


笑いすぎて涙が出てきたのを拭う。

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