妖怪師匠と優雅な時間
「稲荷さん、化け猫の類は
この世にたくさんいるのですよ
…もしかしたらこの猫も
すでに化け猫になっているのかもしれない」

「でもそしたら
"自称妖怪退治家"の師匠のところに
来るのはおかしいとは思いませんか?」

いつもわたしは師匠の矛盾を
見つけようと必死になっている

「悪さをしなければ
僕は基本的に妖怪に
脅威を加えたりしませんよ」

猫は体勢を変えると
ひょいっと庭に向かって行った

師匠も立ち上がった

「休憩は出来ましたね
じゃあ稲荷さんはレポートとやらを
完成させて下さい」

「師匠はもう終わったのですか」

「わたしは少しばかり用事で出ます
すぐに戻りますので
それまでに終わらせてくださいね」

「はあい」

気の抜けた返事をして
散らばったレポートを集めに行く
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