妖怪師匠と優雅な時間
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「猫」

九十九秋成は庭の鯉を眺める猫の後ろに立つ
猫は獲物を狩るように瞳がキラリと光っている

「彼女はお前には無理だよ」

猫のしっぽが長く揺れる
それは二股に分かれた

「やはり化け猫か」

ゆらりと赤い口が開く

「九十九よ、お前はなぜ我に無理と申す?
強い力を持つ妖怪の"容れ物"が
あんなに弱い小娘ではないか」

猫の影が大きく、黒く、歪んでいく

「…お狐様は彼女以外を
受け皿にするつもりはない」

「くく…では尚更のことであろう
小娘がいなくなれば
我に対する脅威もなくなる
あわよくば力をいただけるかもしれない」

「そもそもそんな力もお前にはないだろう」

「狐に対する力は到底及ばないさ
…でも、小娘ごとき殺すのに容易い」

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