あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。

移動中、合格者のうちの一人に声をかけられた。

「さっきは緊張したなぁ。どうやった?」

「え?あ、本当に。すっごく緊張しました」

明るく同い年ほどに見えるその子は、ハッキリと透き通る、いかにも歌手向きの声の持ち主だった。

「やんな!あたし、東 水紀(アズマ ミズキ)!二次審査も頑張ろな!」

歯を見せて笑うその姿に、アズちゃんを思い出す。私も、自然と自分をさらけ出すことが出来た。

「う、うん!…わ、私、岸元光希歩!一緒に歌手になれたらいいね!」

私の脚のことを知っているにも関わらず、微笑んだ東さんは、もう一人の合格者に「あなたは〜?」と聞いた。

「私?私は雨宮 留依(アマミヤ ルイ)よ」

クールで綺麗なその人はカツカツと鳴るヒールが良く似合う。

「じゃあ留依ちゃんと光希歩ちゃんやな!あ、歳は?」

「私は二十一よ」

「あ、私は十七…だけど十八になる歳!」

それを聞いた東さんは目を丸くした。

「えー!みんな年上ですか!あたし高二やで!?」
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