あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
「はい!こちらこそありがとうございました。失礼します」
そう言って部屋の外へ出た。
なんだか他の人たちより随分早く終わった気がする。
結果を楽しみにしていてとは、期待しても良いのだろうか。
今までの努力のおかげで話すことができた。
そんな自分に『偉いね』と声をかける。
返事はない。
私は一人しかいないから。
わかりきった上でそう褒めるのも、自分を好きになることも恥ずかしいことじゃない。
大切なこと。
廊下に出たところで、さっきの二人が立っていた。
「光希歩ちゃん、お疲れ様!」
「お疲れ。早いわね」
私も、そんな二人に「お疲れ様です」と言って近寄る。
「じゃあ、帰ろっか!またここで会えるんを願って!」
そう言う東さんに向かって強く頷いた。
またここで会って、それからどんどん友達の輪を広げて、大きく大きくなって、いずれは私の声が世界中に響き渡るように。
私たちは未来を信じて、手を振り、別れた。