冷たい君の不器用な仮面
な、なんだアイツは……





私はポカーンと口を開ける。




「あーもーごめんね!本人からお礼言わせようとしたんだけど……失敗しちゃった!」






頭の後ろをかきながら、困ったような笑顔を浮かべるユウ。





いやいやいやいやいやいや!!!






レイがお礼なんか、言うと思ったの!?!?





お兄ちゃんなんだよね?……ね?




アイツがお礼なんか言わないことくらい、見ればわかることじゃん?!





……実は超バカだったりするのかな、ユウ。




私は苦笑いを浮かべながら、ユウをじとっと見つめた。





するとユウはパッと表情を変え、パチンッと手を叩いた。





「そうだ、涼那ちゃん!夕食一緒に食べない?せっかくここまで来てもらったんだし……ね、いいでしょ?」





上目遣いをしながら甘いマスクで私を見つめるユウ。





この顔に何人の女が落ちたんだろう。





……数え切れないんだろうな





「…えっと、いいんですか……?」





私は遠慮がちに聞き返す。






でも内心、ラッキー!と思っていた。




だって、あんな家には帰りたくないから。





冷たい冷たいあの空間に、戻りたくないから。




「もっちろん!」





ユウは優しい笑顔を浮かべた。
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