冷たい君の不器用な仮面




***





「……っし、そろそろ戻るか!」




太陽が弁当箱の蓋を閉める。




「………あ、うん。そうだね、休み時間もう少しで終わっちゃうし」






私は切り株から腰を上げた太陽を見上げ、続いて弁当箱を片付けた。





……でも正直、まだここにいたいな





中庭に出ちゃったら人目もあるし、教室に戻ったらきっとまた質問攻めが待ってる。





「………はぁ」





私は重い腰を上げ、憂うつな気持ちで立ち上がった。




_その瞬間、フワッと1枚の葉が舞い上がったのが視界に入る。





それにつられて、私も空を見上げた。




……雲が薄くかかった、青い空。





もしかしたらレイも今頃、病院でこの空見てたりするのかな……





だってこの空は、どこにでも繋がってるんだもん。





_柔らかに頬を撫でる風が、体を優しく包む。





……うん。なんか元気出てきた!
残りの時間もがんばろうっ





私は足に力を入れて、ダッと走り出した。






「ほらもー太陽!早くしないと置いてくよー」




そんな私に、太陽は慌てて足を動かす。






「何だ急に!さっきまでの真っ暗な顔はどこに行ったんだよ?」





「どっか飛んでいったーー!」






……周りの目なんか、いつまでも気にしてられないんだから!!




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