冷たい君の不器用な仮面
「…………」
___…………。
しばらくの沈黙が流れる。
このたった数秒の沈黙が、私にはとても長く感じられた。
心臓がバクバクとなっているのが、手を当てなくても伝わってくる。
聞きたいような、聞きたくないような複雑な心境で、男の口が動くのを私はじっと待った。
すると、男は急に目を細め、
「それがねぇ僕もしらないんだ~。どこで何をしてるのかも~どんな人なのかも!」
と言葉を発した。
「え?」
私はそんな男の予想外な言葉に、目を丸くする。
知ら……ない?
何をしているのかも?
どんな人かも?
え……どういうこと…?
「ふふっ、ちょっと言いすぎちゃった♪怒られちゃう~」
男は私を見てクスクス笑いながらも、足は掴んだまま離さない。
そんな男に、また恐怖を感じた。
「まぁ、今日はこんな用事で来たんじゃないからねぇ。本題はこれか__……」
「__……涼那ちゃん?」
__っ!
そのとき、私の背後から声が聞こえた。
その聞き覚えのある声に、私は勢いよく後ろを振り返る。
するとそこには…
……マスターが立っていたんだ。