冷たい君の不器用な仮面
「……いつかまた現れるとは思ってたけど…さすがにこんなに早いとは思ってなかったよ。」
マスターははあっと息をついて、顎に手を当てた。
「さっきの男の様子だと、あの時はやられたフリをしていたようだね。気が付かなかったよ」
マスターの言葉に私はうなずく。
「あの男と話している途中で、急に雰囲気が変わったんです。寒気が…体中に走るくらい」
私はぶるっと身震いをした。
……思い出しただけで、背筋がゾッとする。
「そっか……確かに、あんなにすぐ涼那ちゃんを救い出せたのはおかしいとは思ってたんだ。いくら奇襲をかけたといってもね」
マスターが私と目を合わせる。
そして、再び優しく背中をさすった。
「とりあえず、病院の中に入ろっか。もう立てる?」
「あっ、はい立てます。すいません…」
差し伸べられたマスターの手を取り、私はゆっくりと立ち上がる。
そして、マスターと一緒にレイの病室へと向かった。