冷たい君の不器用な仮面
「間違えてないからね、涼那ちゃん。はいUターンしない」
マスターはくるっと背を向けた私の肩をつかみ、病室の中へ押し込む。
…いや、そりゃ少しは荒れてるんだろうなとは予想してたけど……
まさか開けた瞬間、ガラスの花瓶が飛んでくるとは思ってなかったよ。
私は飛び散った花とガラスの破片をよけながら、ぎゃあぎゃあ言い合う二人のもとに近寄る。
どうやら二人とも、まだ私とマスターの存在に気が付いていないようだ。
「病院退院するって言っとけよ。ユウ」
レイはキッとユウを睨みながら、出口に向かってくる。
「っちょ、だから帰ろうとするな……ってお!いい所に!」
その瞬間、私と目があったユウがにやりと笑う。
「涼那ちゃん!真似して!はいっ」
ユウが突然、ばっと手を広げた。
「え?ん?あ、はいっ」
私はわけも分からず、ユウの真似をする。
その瞬間、
___ぼふっ
前を見ていなかったレイと私が、見事にぶつかった。