冷たい君の不器用な仮面
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「……ユウもマスターも私の扱いひどいんですけど」
「え?何が?」
きょとんとした目で私を見るユウを、ぎろっとに睨みながらイスに腰かける。
なにが、え?何が?だ!
ユウはユウで、私を壁にしてレイを止めようとするし
マスターはマスターで、病室があの惨状だって分かってて先を譲ってくるし
………私を何だと思ってんだ
うーん。改めて思い出してみるとやっぱりひどいな。
私は二人にうまく利用されたことにため息をつきながら、レイに目を移した。
……見事なしかめっ面だ。
今まで見たことが無いくらい、眉間にしわが寄ってる。
レイは私がベットまで追いつめて、無理やり寝かせることに成功した。
そんなレイを見て、ユウが吹き出しながら口を開く。
「おいレイ、そんなしわ寄せてるとじいちゃんになるぞ?いいのか?」
「だまれ。」
相当…病院が嫌なんだね。
もう発する声からさえ、嫌悪感が漂ってくる。
まあ、こんな調子だから、病院出口から一番遠い病室に移動になったんだろうけど。