冷たい君の不器用な仮面
……遅いな、レイ。
あれから10分ほど経った。
レイはまだバーに帰ってこない。
私はレイの様子が気になり、イスから立ち上がった。
カランカランとなる木製のドアをそっと開け、外に出る。
あたりを見渡すと、何人かの通行人が歩いていた。
レイの姿はない。
おかしいな……と思いながらも、店の周りを一周する。
するとどこからか、男の人の怒鳴り声が聞こえてきた。
私は気になり、そちらに向かって歩き出す。
声のする方に近づくたび、怒声がはっきりと聞こえてくるようになる。
「……どこにいるかって聞いてんだよ!!」
私は声がする、ビルの路地裏を覗き込んだ。
すると
何人もの暴走族が、そこに溜まっていた。
私の体に緊張が走る。
……何でこんなにたくさんここに集まってるんだろう。
私は恐る恐る、路地裏をに足を踏み入れる。
その瞬間
ドカッ
……集団の中から、嫌な音がした。
私は後ろを向いている暴走族たちの後ろに静かに近づき、集団の中心を覗き込む。
何でこんなことしてるのか、自分でもわからない。
何で私はこんなに暴走族に近づいてるんだろう。
見つかったら、何かされるかもしれないのに。
私は震える足を気にもせず、目を集団に向ける。
……だって
すごく嫌な予感がするから。