冷たい君の不器用な仮面
何で
何で
何で
何で……
レイは最初に会った時も、誰かに襲われたように傷だらけだった。
何でレイはこんなに暴力を振るわれなければいけないんだろう。
何でレイだけこんなに苦しい思いをしなきゃいけないんだろう。
まだ先週の傷だって癒えてないのに。
まだ包帯を体に巻いている状態なのに。
私は気がつくと、暴走族の集団の中をかき分け、レイの元へと走り出してた。
「……っ誰だこの女!!!」
ひとりの暴走族が大きな声を上げる。
その声に、倒れていたレイがゆっくりと顔を上げた。
「……っレイ!!」
レイは私の姿をとらえた瞬間、大きく目を見開く。
私はなんとかレイの元へとたどり着き、レイを抱きかかえた。
周りの暴走族たちは、突然の状況に反応できなかったのか、ぽかんと口を開けたまま私たちを見ている。
「…レイ!走って!!!」
私はレイの肩を支えながら、路地裏から全力で逃げ出した。