私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

気を決して顔を上げると、目の前に季龍さんの顔があって息が詰まる。

…やっぱりダメだ。季龍さんに翻弄されるばっかりで、引き留められる気がしない。

季龍さんを見つめたまま固まっていると、訝しげな顔をされる。

「お前、熱でもあるのか?」

「ッ…」

額に手を当てられ、顔を近づけられる。

…梨々香ちゃんごめんなさい。やっぱり無理です。今すぐ台所に戻りたい!!!

即座に立ち上がり、季龍さんをなるべく見ないようにしながら逃げ口に視線を向ける。

「ご、ごめんなさい。夕ご飯の支度、手伝ってきます」

無理無理無理!!このまま一緒にいたら私の心臓持たない!!

逃げるように足を踏み出すと、手を掴まれて思いっきり引っ張られる。片足で踏ん張ることも出来ない。それどころか、その片足も滑ってバランスを思いっきり崩す。

倒れるッ…。思わず目を閉じる。

背中からベッドに倒れる。ベッドのスプリングの衝撃が止んで恐る恐る目を開けると、目の前に季龍さんの顔が見えた。
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