私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
しばらくして落ち着きを取り戻したお父さんはベッドに戻って、私はベッド脇の椅子に座る。
少し気恥ずかしいように頬を掻いたお父さんは、改めてみるとやっぱり老けて見えた。
「お父さん、老けた?」
「え、あ…あはは…。直球だな、琴葉」
「え、あごめん…」
でも、1年で老けるような老け方じゃないんだもん…。
空笑いしたお父さんはため息をつくと軽くうつむく。
「琴葉がさらわれて、殺されたんじゃないかって言われた時には、自殺しようかと思ったんだ。手がかりが全くなくなって、生きてる心地がなくなってからは、自暴自棄だったからな」
「ッ…」
思ってた以上に話が重い。でも、それほどお父さんは私を思ってくれていた。それがわかると同時に、少し怖くなる。
お父さんの命は、私次第で揺れてしまう。それがはっきりわかった。
…私の意思は、受け入れてもらえるのかな。