私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「っあ、も、もちろん法的にはしっかり親子だ。ただ、血が繋がってないというだけで…」
「…お父さん」
少し迷ってお父さんと呼ぶ。
お父さんは口を閉じて私を見つめる。その顔は誰が見ても緊張していると言いそうなほど、固かった。
「…お父さんは、それで幸せだったの?」
すっと、お父さんは表情をなくす。でも、その顔には笑みがこぼれ、私の両手に手を重ねた。
「当然だろう。いろはさんも、琴葉も、私の生き甲斐そのものだ。こんなにかわいい娘が出来た私が、不幸に見えるかい?」
迷いのない断言に不安が薄れていく。
血が繋がってるとか、繋がってないとか、そんなのどうでもいいように感じた。
「琴葉が会いたいなら、本当のお父さんの連絡先も分かるが…」
「ううん、いらない」
「私に遠慮はしなくていいんだよ」
「私はお父さんの子どもなんでしょう?それに、お父さんがこれ以上増えたらおかしいもん」
最後の言葉にお父さんは首をかしげるけど、たぶん連絡先の紙を再び懐に戻した。