医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
「う、そ……」
声にならない声が漏れ出ていた。
血の気の引く思いで、その場に立ち上がる。
頭が真っ白になりかけながらも、駆け出すようにして病室を飛び出していた。
航くんが……航くんが……!
ナースステーションに向かって廊下の角を勢いよく飛び出した時、体当たりするようにしてやってきた人に突っ込んでしまう。
「おっと」と驚いたような声が降ってきて、弾かれたように顔を上げると、私を受け止めていた腕の主が天笠先生だということにそこで気が付いた。
「どうした、そんなに慌てて」
何も知らない天笠先生は、血相を変えて慌てふためく私を不思議そうな顔をして見下ろしている。
「航くんが、航くんがいなくなってしまって!」
「いなくなった?」
「あのだから、私、探しに――」
天笠先生は「ちょっと落ち着け」と、受け止めたまま掴んでいた私の両二の腕を強く揺する。
「ちゃんと確認したのか? いなくなったって、病院のどこかに――」
「外用のスニーカーが、なくなってるんです!」
私の告げた内容に、天笠先生のレンズの向こうの瞳が微かに揺れるのを目撃した。