医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
こんなことになる前に、どうして航くんの異変に気付けなかったのだろう。
病院から公園通りへと飛び出し、周囲を確認しながらひたすら走っていく。
街路樹の青々とした葉の隙間から差し込む真夏の太陽は容赦なく、前髪の隙間から汗が流れ落ちてくる。
額を伝って目の中に入り込むと、ひりっとして視界が一瞬だけ歪んだ。
さっき、自分のランチを終えて病棟に戻ると、航くんは昼食を多く残していた。
根菜の煮物や野菜サラダは手をつけていなくて、それを見た私は普段よりキツめに注意をした。
『野菜をこんなに残したらいけない』
『好き嫌いをしていたら、病気もよくならない』
そんなようなことをくどくどと言って、お説教をしてしまった。
もしかしたら、普段より体調があまりよくなかったのかもしれない。
もしかしから、何か悩んでいたのかもしれない。
そんなことをあれこれ考えては、どうしてあの時話を聞いてあげなかったのだろうと後悔が生まれた。
航くんは、明日には関西の病院へと手術のために向かう。
口に出したりはしなかったけど、本当は手術が不安で、逃げ出したい気持ちもあったのかもしれない。