医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
「お疲れ様でした」
夜勤明けの朝。
覗いた窓の外はすっかり明るく、今日も蒸し蒸し暑そうな陽が降り注いでいる。
それまで働いていた町医者では、日勤の仕事のみで朝出勤しては夕方には仕事が終わるというスタイルで勤務していた。
でも、大学病院勤めをするようになってからは、もちろん夜勤だってシフトに組み込まれている。
介護ヘルパー時代ぶりの久しぶりの夜勤で、勤め始めた春頃は明け後は結構どろどろだったけど、最近は慣れてきたのか比較的爽やかに朝を迎えられるようになってきている。
「あっ、芽衣子ちゃん、お疲れ!」
女子更衣室を出て一階フロアを歩いていると、進行方向正面から挙げた手をぶんぶん振る姿が目に映った。
「雪音(ゆきね)ちゃん、お疲れ様」
こっちに向かって小走りで駆けてくる明るいグレーのパンツスーツ。
一つボタンのジャケットの下には、薄ピンクのインナーが覗いていて、今日もとってもオシャレだ。
中条(なかじょう)雪音ちゃんは、製薬会社に勤める同じ歳のMR。
私が以前に働いていた病院にも営業にきていた。
その頃からの知り合いで、最近またこの大学病院で再会。
どうやら営業先が変わったらしいけど、そんなご縁があって以前よりもぐんと仲良くなった。