医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
「――聞いてるか?」
「えっ? あ、はい! パン、パンはー……クロワッサンが結構」
テンパりながら返事を返し、品物を見るフリをしてくるりと天笠先生へ背を向ける。
熱くなった顔を両手で包み込み、手で冷却しようと試みていた。
だめだ、キャパオーバーだ……。
想定外の心拍の乱れに、鼓動を落ち着ける暇がない。
昨日、先生と個人的に約束した時点でも緊張した。
着ていく服に前日から悩むなんて、いつぶりのことかわからないくらいお無沙汰のこと。
だから、昨日の時点からあらゆることを考えて、シミュレーションして、病院外で会っても普段通りの自分でいられるようにと、心の準備をしてきたのだ。
だけど、全く意味なし!ってくらい、平静を保てない状態が続いてしまっている。
それも、一人であれこれ考えすぎて自爆しているから始末が悪い。
別に、デートに誘われたとかじゃないし、今日のは仕事の延長みたいなものと思って、意識しすぎないようにしないとダメだ。
普段通り、普段通りに……。