医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛


「先生、ちょっと待って!」


小児病棟内を見回っていく天笠先生に付いていく。

声を掛けても私の声は聞こえてないように無反応で、何度も「先生!」と呼び掛けていた。

航くんの姿が見つかったのは、病棟の隅に位置するプレイルーム内だった。

小学校の教室ほどの部屋にはカラフルなプレイマットが敷き詰められ、そこには幼児用のちょっとした遊具があったり、部屋の隅には本棚に多くの絵本や知育玩具が置かれてある。

勉強やお絵描き、工作などができるように用意されたローテーブルのところに、航くんと高学年男子は集まっていた。

航くんの姿を見つけた天笠先生は、迷うことなくシューズを脱いで子どもたちが集まる一角へとずんずん進んでいく。

私も慌ててナースシューズを脱ぎ捨て、そのあとに続いた。


「何をしている」


天笠先生が掛けた低く重い声で、子どもたちはテーブルの上から顔を上げる。

その手元にはカードゲームが広がっていた。

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