医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
さっき天笠先生は、夜勤で出勤してきた私に航くんの申し送りをして、そのまま帰るような様子だった。
ところが、その航くんの話で良からぬことが発覚し、帰宅の足を止められた。
もう帰ってしまっただろうかと病棟からロッカールームに向かう廊下を進んでいくと、その途中にある外来患者さん用の自動販売機が並ぶ休憩コーナーに、まだ白衣を着たままの天笠先生の姿を見つけた。
缶コーヒーを手に設置された長椅子に掛ける先生は、近付いてきた私の足音で自分の足元から顔を上げていた。
外来診療が終わった静かなフロアに、近付く私の足音が妙に響いて聞こえる。
「……あんな言い方しなくても、いいと思います」
一言目、なんと言おうか先生を探しながら悩んでいた。
あれこれ考えていたくせに、自然と出てきたのは抗議の言葉。
私を見る天笠先生の表情に色はない。
ただじっと、レンズの向こうの目は涼しげに私を見つめている。