God bless you!~第8話「リコーダーと、その1万円」・・・予算委員会
右川は、不敵にニッコリと笑うと、
「女子の下半身狙ってリア充諦めたクソカメラ3人組より、地味だよぉ~」
またしても雲行きが怪しくなってきた。
3人がムッと来たのを見て、「言い過ぎ」と、ここは右川の頭をポンと叩く。
正直、よくぞ言った!と拍手喝采したい所だ。右川の天邪鬼は、たまにこういう形で恩恵をもたらす。これが意外と侮れない。
男子は、小さく舌打ちすると、そこから愛しいmyカメラを眺める事で自身を慰める。右川は、その男子からアルバムを奪い、ぱらぱらとめくって、
「こういうのって、どっかに出したりしないの?ほら、高校生のフォト・コンテストみたいなの、あるじゃん」
驚く事に、前向きなご提案だ。拍手喝采に口笛も付けよう。
「しねーっすよ。そんなイキった事」
「オレら、そういうの目指してないんで」
「何言ってんだオメ、って感じでしょ?」
おお~♪
右川は、パチパチと陽気に手を叩いた。
「右から順に、カス。クズ。ポンコツ 」
ダサいって最高!と、右川は拳を突き上げた。
3人は同時に舌打ちする。結果……頭を叩くだけでは、もう収まりそうにない。
右川は次から次へとブチ上げて、次々と不興を買った。
不意に、アルバムの中に自分の写真を見つけたらしく、
「何であたし、こんな変顔なの。腕悪いんじゃない?」
右川はその写りが好いの悪いのと、ここに来てまたダメ出しを始めた。
3人は更に気分を害するかと思いきや、「「「ひゃひゃひゃっ!」」」と、一斉に笑い出す。
「ちょっとぉ~、センパ~イ。ペタ子のくせにイキがらないで下さいよ」
「これは練習っすよ。ていうか、ペタ子はウシ乳、ちゃんと飲んでます?」
「とりあえず大っきく育ってからっス。そしたら今より写り良くなるっス」
3人は仕返しのつもりなのか。
右川の身体(魅力)低能力をあげつらって、次から次へとブチ上げる。
「苦しゅうない~」と頭を肘立て代わりに使われて、右川はバタバタと暴れた。
それを見て、「「「きゃははは!」」」と、3人は高笑い。
俺は、とりあえずそれを冷静に眺めた。……ここまでは。
右川は見た目やそのキャラから、後輩には舐めて掛かられがち。
真木に〝こびと先輩〟と呼ばせてる辺りから、既におかしい。
だから、本人が1番悪いという事はある。だが、いくら相手がチビでぺタ子とはいえ、これは先輩に対する態度ではない。
「おまえら」
こういう場合、背の高さも威力を放つ。
部活ユニフォームなら、さらに効果絶大だ。
「先輩に向かって、そういう態度何だ。生意気だぞ」
滅多に出さないキレキレの声で一喝した。
右川もぺタ子の意地を見せるとばかり、「そーだよ!」と(凹んだ)胸を張る。
「議長が学校にチクって、カメラが潰されても知らないからねっ」
げろ。
信じられない啖呵まで切ってくれた。
3人は先輩に渇を入れられたと、少々凹んだ様子は見せたものの、「そろそろ水泳部が練習始めんぞ」と誰かが言えば、その声を合図に、「「「さーせん」」」と逃げ出した。実状、永田とおまえら、どこが違うのか。
そして、俺もナメられてる側なのかもしれないと、地味に思った。
ところで。
「その宝探し、いつまでやる気だよ」
「だーかーらー、目標金額まで」
まるで俺の機嫌を窺うみたいに、右川は上目遣い。あの忌まわしいエクボも、薄っすらと浮かんでいるけど……ていうか、なに媚売ってんだ?
突っ込んでやろうとしたそこに、校舎棟に続く通路をドヤドヤと、それぞれが楽器ケースを抱いて、吹奏楽部が通り掛かった。
「あ、マッキーだ!」
いつもいつも思うのだが、こういう時に限って、邪魔が入る。何もかもが右川に都合よく。
右川に声を掛けられた真木は、先頭の重森を窺いながら、こっそり列をはぐれて、こちらにやってきた。その手には仮の姿、フルートが握られている。
「こびと先輩、また落書き出てましたよ。せとかい&スイソーが」
「うし!だったら出動だな」と、やっぱり乗っかって逃げ出そうとするか。
「そんな時間があったら、とっととサルの宿題をやれよ」
「いやー、だけど犯人が……うーん、サルサルサル、サルの問題が」
サル問題と犯人探し。
逃げ口実として、どちらがより面倒くさいか、右川は葛藤している。
真木は消えてしまった部員仲間を気にして、
「あの、すみません。今日は放課後ずっと部活で。もう行かないと」
その境遇は重々、理解している。
「いいよ。今は特に作業は無いから」
気にしなくていいと伝えた。
「じゃ、帰るね♪」
「って。しれっと便乗すんな」
そこで阿木が、俺を呼びにやって来た。
ほーら、また上手く邪魔が入ったゾ。その隙に会長は、どこかに逃げ出し、そして議長が1人、生徒会室に向かいます……納得いかない。
生徒会室に戻る途中の事、移動しながら阿木は、「これなんだけど」と何やら書類をめくる。
「それ、長い?俺着替えてきていい?」
「すぐ終わると思うけど」
こういう時、思うのだ。すぐ終わると言われて、すぐ終わった事あるか?
「吹奏楽がね。OBが寄付金持ってきたとかで、預かれって言うの」
「いくら」
「5万円」
自慢としか思えない。この期に及んで面倒な事をしてくれる。
「こういう場合、どう処理するんだっけ?」
「確かマニュアルのファイルに、松下さんが書いてくれたような」
それを見て調べて、否応なく雑事を片付けて……俺は、議長の筈なんだけど。
上着も何も持っていない。ペラペラのユニフォーム姿では、急激に熱が奪われる。タオルを首にグルグル巻き。
俺は仕切りと腕をさすった。マジ風邪引いたらどうすんだ。
処理した寄付金を金庫に仕舞った。ちょうど上がってきた2,3の回答書を携えて、生徒会室に戻ってきた浅枝と合流。まとめて予算案に反映させた。
忙しくないとはいえ、ちょろちょろと要求はやってくる。その時間を合わせたら、部活に掛けた時間と同じくらいの長さをかけて、それも、その2倍の労力を奪われているのだ。
つくづく、時間が欲しいと思う。
とりあえず、着替える時間とか……たまに、会長に説教する時間くらいは!
「女子の下半身狙ってリア充諦めたクソカメラ3人組より、地味だよぉ~」
またしても雲行きが怪しくなってきた。
3人がムッと来たのを見て、「言い過ぎ」と、ここは右川の頭をポンと叩く。
正直、よくぞ言った!と拍手喝采したい所だ。右川の天邪鬼は、たまにこういう形で恩恵をもたらす。これが意外と侮れない。
男子は、小さく舌打ちすると、そこから愛しいmyカメラを眺める事で自身を慰める。右川は、その男子からアルバムを奪い、ぱらぱらとめくって、
「こういうのって、どっかに出したりしないの?ほら、高校生のフォト・コンテストみたいなの、あるじゃん」
驚く事に、前向きなご提案だ。拍手喝采に口笛も付けよう。
「しねーっすよ。そんなイキった事」
「オレら、そういうの目指してないんで」
「何言ってんだオメ、って感じでしょ?」
おお~♪
右川は、パチパチと陽気に手を叩いた。
「右から順に、カス。クズ。ポンコツ 」
ダサいって最高!と、右川は拳を突き上げた。
3人は同時に舌打ちする。結果……頭を叩くだけでは、もう収まりそうにない。
右川は次から次へとブチ上げて、次々と不興を買った。
不意に、アルバムの中に自分の写真を見つけたらしく、
「何であたし、こんな変顔なの。腕悪いんじゃない?」
右川はその写りが好いの悪いのと、ここに来てまたダメ出しを始めた。
3人は更に気分を害するかと思いきや、「「「ひゃひゃひゃっ!」」」と、一斉に笑い出す。
「ちょっとぉ~、センパ~イ。ペタ子のくせにイキがらないで下さいよ」
「これは練習っすよ。ていうか、ペタ子はウシ乳、ちゃんと飲んでます?」
「とりあえず大っきく育ってからっス。そしたら今より写り良くなるっス」
3人は仕返しのつもりなのか。
右川の身体(魅力)低能力をあげつらって、次から次へとブチ上げる。
「苦しゅうない~」と頭を肘立て代わりに使われて、右川はバタバタと暴れた。
それを見て、「「「きゃははは!」」」と、3人は高笑い。
俺は、とりあえずそれを冷静に眺めた。……ここまでは。
右川は見た目やそのキャラから、後輩には舐めて掛かられがち。
真木に〝こびと先輩〟と呼ばせてる辺りから、既におかしい。
だから、本人が1番悪いという事はある。だが、いくら相手がチビでぺタ子とはいえ、これは先輩に対する態度ではない。
「おまえら」
こういう場合、背の高さも威力を放つ。
部活ユニフォームなら、さらに効果絶大だ。
「先輩に向かって、そういう態度何だ。生意気だぞ」
滅多に出さないキレキレの声で一喝した。
右川もぺタ子の意地を見せるとばかり、「そーだよ!」と(凹んだ)胸を張る。
「議長が学校にチクって、カメラが潰されても知らないからねっ」
げろ。
信じられない啖呵まで切ってくれた。
3人は先輩に渇を入れられたと、少々凹んだ様子は見せたものの、「そろそろ水泳部が練習始めんぞ」と誰かが言えば、その声を合図に、「「「さーせん」」」と逃げ出した。実状、永田とおまえら、どこが違うのか。
そして、俺もナメられてる側なのかもしれないと、地味に思った。
ところで。
「その宝探し、いつまでやる気だよ」
「だーかーらー、目標金額まで」
まるで俺の機嫌を窺うみたいに、右川は上目遣い。あの忌まわしいエクボも、薄っすらと浮かんでいるけど……ていうか、なに媚売ってんだ?
突っ込んでやろうとしたそこに、校舎棟に続く通路をドヤドヤと、それぞれが楽器ケースを抱いて、吹奏楽部が通り掛かった。
「あ、マッキーだ!」
いつもいつも思うのだが、こういう時に限って、邪魔が入る。何もかもが右川に都合よく。
右川に声を掛けられた真木は、先頭の重森を窺いながら、こっそり列をはぐれて、こちらにやってきた。その手には仮の姿、フルートが握られている。
「こびと先輩、また落書き出てましたよ。せとかい&スイソーが」
「うし!だったら出動だな」と、やっぱり乗っかって逃げ出そうとするか。
「そんな時間があったら、とっととサルの宿題をやれよ」
「いやー、だけど犯人が……うーん、サルサルサル、サルの問題が」
サル問題と犯人探し。
逃げ口実として、どちらがより面倒くさいか、右川は葛藤している。
真木は消えてしまった部員仲間を気にして、
「あの、すみません。今日は放課後ずっと部活で。もう行かないと」
その境遇は重々、理解している。
「いいよ。今は特に作業は無いから」
気にしなくていいと伝えた。
「じゃ、帰るね♪」
「って。しれっと便乗すんな」
そこで阿木が、俺を呼びにやって来た。
ほーら、また上手く邪魔が入ったゾ。その隙に会長は、どこかに逃げ出し、そして議長が1人、生徒会室に向かいます……納得いかない。
生徒会室に戻る途中の事、移動しながら阿木は、「これなんだけど」と何やら書類をめくる。
「それ、長い?俺着替えてきていい?」
「すぐ終わると思うけど」
こういう時、思うのだ。すぐ終わると言われて、すぐ終わった事あるか?
「吹奏楽がね。OBが寄付金持ってきたとかで、預かれって言うの」
「いくら」
「5万円」
自慢としか思えない。この期に及んで面倒な事をしてくれる。
「こういう場合、どう処理するんだっけ?」
「確かマニュアルのファイルに、松下さんが書いてくれたような」
それを見て調べて、否応なく雑事を片付けて……俺は、議長の筈なんだけど。
上着も何も持っていない。ペラペラのユニフォーム姿では、急激に熱が奪われる。タオルを首にグルグル巻き。
俺は仕切りと腕をさすった。マジ風邪引いたらどうすんだ。
処理した寄付金を金庫に仕舞った。ちょうど上がってきた2,3の回答書を携えて、生徒会室に戻ってきた浅枝と合流。まとめて予算案に反映させた。
忙しくないとはいえ、ちょろちょろと要求はやってくる。その時間を合わせたら、部活に掛けた時間と同じくらいの長さをかけて、それも、その2倍の労力を奪われているのだ。
つくづく、時間が欲しいと思う。
とりあえず、着替える時間とか……たまに、会長に説教する時間くらいは!