俺の嫁になれ～一途な御曹司の強すぎる独占愛～

無気力で食欲もない。
おまけに夜眠れなかった。
次の朝、いつもより早く出勤すれば、もう黒崎君がデスクで仕事をしていた。
会いたくない時に限って早出してるんだもん。
神様って意地悪だ。
「おはよう」
動揺を隠しながら笑顔で挨拶するも、顔が引きつる。
「桜井、顔色悪くないか？」
黒崎君にそう声をかけられたが、「昨日ちょっと夜更かしをしたんです」と笑って誤魔化した。
だが、このままでは私の精神が持ちそうにない。
彼には婚約者がいる。
好きになっちゃいけないんだ。
大塚さんがいると、その現実を突きつけられる。
少しでも気を緩めれば泣いてしまいそう。
だから、黒崎君への連絡は出来るだけ付箋を使って直接話すのを避け、仕事に集中しようとした。
それなのに、大塚さんは仕事中でも自分の存在を誇示するかのように黒崎君の話をする。
「直人さんて凄くモテるでしょう？だから心配で私も側で働きたくて」