俺の嫁になれ~一途な御曹司の強すぎる独占愛~
咎めるような口調。
てっきり後藤君かと思ったが、それは黒崎君の声だった。
大塚さんと一緒に店を出たんじゃなかった?
そんな疑問が頭に浮かんだが、イラっとして「少ししか飲んでませんよーだ」と子供のように反論する。
「酔っ払いはみんなそう言う」
黒崎君は呆れ顔で返した。
「酔っ払いじゃありません。素面です。だって、『方丈記』の冒頭の部分だってスラスラ……言えるよ。ゆく川の流れは……ん……絶えずして……ん……」
不意に力が抜けて、ガクンと崩折れる。
「こら、こんなところで寝るな」
黒崎君に罵られるも、その声はどこか遠くで聞こえた。
黒崎君と後藤君が何か言い争っていたがよく聞こえない。
もう目を開けてられず、そのまま睡魔に襲われ、記憶がぷっつりと途切れた。
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