俺の嫁になれ～一途な御曹司の強すぎる独占愛～

ポーカーフェイスで何も反論せずに先を促す。
「婚約者がいるなら、桜井さんは俺に譲って下さいよ。俺、本気で好きなんですから」
後藤は真っ直ぐな目で俺に伝えてくる。
多分、その言葉に嘘はない。
だが、譲れなかった。
「こいつは俺のだ。誰にもやらない！」
そう主張して、後藤から桜井を奪い返す。
こんなに感情的になったのは初めてだった。
俺にそうさせたのは腕の中にいるこの女。
彼女を抱き締めて自覚する。
ああ……俺は桜井が好きなんだ。
後藤に奪われそうになってそのことに気づくなんて、俺も相当馬鹿だな。
いつから好きだったのかなんてわからない。
彼女が俺の側にずっといたから……。
だから、失うわけにはいかないんだ。
「 婚約者がいるのに欲張りすぎですよ！愛人にでもするんですか！」
後藤が珍しく声を荒げる。
「婚約者なんていない。俺にはこいつだけだ」
静かな声で後藤に告げる。
それは俺の本心。