生意気オオカミの虜
「 お電話ありがとうございます、美容室 美風館、受付けの甚野でございます 」
変わらない私から見える店の雰囲気、風景。
スタイリストとアシスタント、お客さんとの会話の中を包むように洋楽が流れてる。
「 愛弓ちゃん、笹野様は予約変更。高橋様はキャンセル 」
「 はーい…… ねぇ、なんであの人が彼氏?彼氏いないんじゃなかった? すごくずるいんだけど 」
頼、また面倒な事になりそうだよ……
「 あはははは… 」
「 なんで羽奈ちゃん?」
あ、それ言っちゃう?
彼氏なんて嘘だって言うのやめよ。
私は愛弓ちゃんより可愛くはないよ、たぶん。
「 髪、いつやったの?彼氏の影響?」
……なんだろ、女ってさ。
イケメンがそばにいる、ましてや自分より劣るかもしれない女をひどく言うよね。
やな感じ。
だったら自分はどうなの?って思うよ。
そんな風に口にしてる女をイケメンが恋してくれるとでも?
人の恋なんてそれぞれ。
見かけ倒しな女はそこら中にいる。
きっと私の幼馴染みの頼は、見分ける男だと思う。
だって、私がそばにいるんだから。
「 あーあ、羽奈ちゃんにイケメン彼氏出来るならさぁ私にも出来るはずだわ 」
そう?
比べる相手が私ってどうなの?
「 お電話ありがとうございます。美容室 美風館、受付けの甚野でございます。はい、予約ですね、かしこまりました。担当は… はい、かしこまりました、では確認致しますのでお待ちください 」
やっぱり心から美人な人ってそんなにいないと思う。
だからこそ、頼と凛がそばにいる私は幸せ者なのかも。