副社長と恋のような恋を
 小皿に乗っているチョコレート。“Happy Birthday”の文字がハート型のチョコレートに筆記体で刻まれている。

「君がこのチョコレートを残してくれてよかった。君の誕生日をお祝いすることができる。カクテルをプレゼントさせて」

 彼はそう言って、バーテンダーにメニューリストを指さした。

「なにを頼んだんですか?」

「秘密。来てのお楽しみに」

 彼はそう微笑んだ。

 ああ、メガネかけたい。この人の顔をちゃんと見たい。そんなことを思いながら、バラ型のチョコレートを口に入れた。残りは二つ。ハート形のホワイトチョコレートとハッピーバースデーのチョコレート。

「お待たせいたしました」

 バーテンダーが目の前にカクテルを置く。乳白色のカクテル。これだけではなんのカクテルかわからない。彼の顔を見れば、ただ微笑んでいるだけ。

「じゃあ、お誕生日おめでとう。君の新しい時間が美しく輝きますように」

 彼も私もグラスを軽く上げて、カクテルに口を付けた。

「これXYZですよね」

「そう。アルコール度数が少し高いけど大丈夫?」

「はい、これくらいなら。どうしてXYZを?」
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