副社長と恋のような恋を
 副社長は私の顔をのぞき込んだ。

「嫉妬してくれたんだ」

「知らない」

「大人気ないよ」

「大人です」

 そして同じタイミングで笑った。その笑顔を見て、好きだなと思った。

 ◇◇◇

「お邪魔します」

 誰もいないとわかっていても、なんとなく言ってしまう。家主のいない家はとても静かだった。

 この前、もらったばかりの合鍵を使う瞬間、にやけてしまいそうになった。鍵をバックの中にしまい、着ていたジャケットを脱いだ。そして、エプロンを着ける。

 副社長はあんまり手の込んだことは、好まないみたいだから副社長が好きなものを作ることにした。クラムチャウダー、サーモンのムニエル、ラザニア。普通のショートケーキも用意した。

 ラザニアをオーブンから出し、テーブルに並べたところで、副社長が帰ってきた。

「おかえりなさい」

 急いで玄関へ行くと、副社長が勢いよく抱きついてきた。

「ただいま。麻衣が出迎えてくれるってうれしい」

 すぐにはなれるかと思いきや、離れる気配がまったくない。

「明人さん、夕飯冷めちゃうよ」

「そうだね」

 やっと離れた副社長は上機嫌でリビングへと向かった。テーブルに並ぶ料理を見て、好きなものばかりだと言った。

「着替えてくるから。あとこれ、ワイン。一緒に飲もう」
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