副社長と恋のような恋を
 副社長は、私の作った料理を食べている。幸せそうな顔をしながら。そんな副社長の顔を見つめていたら、勝手に言葉がこぼれた。

「好きです」

 副社長は目を開き、食事の手を止めた。

「麻衣、それって」

 自分が変なタイミングで告白してしまった。本当はプレゼントを渡すときに伝えようと考えていたのに。仕事帰りだってこともあるけれど、今日は都築麻衣の姿はしていない。本来の自分で気持ちを伝えたいと思ったから。だから、めずらしく職場にスカートを履いていいたら、村田先輩にいろいろと詮索をされた。私なり気合を入れてここに来たのに、この展開。

「あ、のですね、ご飯冷めます」

「ご飯はそんなに簡単に冷めないよ。それより今、好きって言ったよね」

「言った、うん。言いました」

「麻衣って、不意にかわいいことするよね。俺はいつもそれに振り回されているんだよ。知らないでしょ」

 自分がそんなことしている気はない。いつ、副社長はそんなことを思っていたのだろう。むしろ私のほうが振り回されていると思う。

「本当に困るよ。食事中じゃなかったら、抱きしめてキスして、ベッドに連れて行くんだけど」

「なっ!」

「これでもいい大人だから、今は麻衣の手料理を堪能することにするよ」
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