副社長と恋のような恋を
「今日は俺の行きたい所に付き合ってくれてありがとう」
「いえ。とても楽しかったです」
副社長の眉間に皺が寄った。慌てて楽しかったと言い直した。
「俺も楽しかった。それから言いそびれたけれど、今日のワンピース、よく似合ってるよ」
「それは、ありがとう、ございます」と、私はたどたどしい言葉遣いになってしまった。その不意打ちはずるい。
「おやすみ」
「おやすみなさい。送ってくださりありがとうございました」
窓を閉めると車が動きだした。車が見えなくなるまで見送った。
◇◇◇
私は入社して初めて、この会社の最上階に来ている。
ark(アーク)新作企画デザインチームの会議は、副社長室の隣に設けられている会議室で行われる。副社長専用の会議室だからといって、豪華な作りになっているわけではない。私たちが普段使っている会議室と同じだった。無機質な壁に、素っ気ない丸テーブルとイス。唯一、違いがあるとすれば窓から見える景色がいつもより高い分、きれいに見えるくらいだ。
会議室には、私を含めて五人いる。その顔ぶれの中に見知った人がいた。
「酒井ちゃん」
村田先輩は私の顔を見るなり、イスから立ち上がった。
「酒井ちゃんもデザインチームに選ばれたんだね」
「いえ。とても楽しかったです」
副社長の眉間に皺が寄った。慌てて楽しかったと言い直した。
「俺も楽しかった。それから言いそびれたけれど、今日のワンピース、よく似合ってるよ」
「それは、ありがとう、ございます」と、私はたどたどしい言葉遣いになってしまった。その不意打ちはずるい。
「おやすみ」
「おやすみなさい。送ってくださりありがとうございました」
窓を閉めると車が動きだした。車が見えなくなるまで見送った。
◇◇◇
私は入社して初めて、この会社の最上階に来ている。
ark(アーク)新作企画デザインチームの会議は、副社長室の隣に設けられている会議室で行われる。副社長専用の会議室だからといって、豪華な作りになっているわけではない。私たちが普段使っている会議室と同じだった。無機質な壁に、素っ気ない丸テーブルとイス。唯一、違いがあるとすれば窓から見える景色がいつもより高い分、きれいに見えるくらいだ。
会議室には、私を含めて五人いる。その顔ぶれの中に見知った人がいた。
「酒井ちゃん」
村田先輩は私の顔を見るなり、イスから立ち上がった。
「酒井ちゃんもデザインチームに選ばれたんだね」