副社長と恋のような恋を
「はい。自分でもびっくりしてます」

「わかる。私も面談の話が来ただけでもびっくりしたのに、まさか選ばれるとは思ってなかったら」

 相変わらず活舌のいいしゃべり方だ。村田先輩は高校の時の先輩で同じ美術部に所属していた。後輩の面倒見がよく、私もよくアドバイスを受けた。大学はお互い別のところに進学したが、就職先で再開するとは夢にも思わなかった。

 部署が違うためほとんど会うこともないが、ときどき廊下や社食で会うと近況報告をしている。

「村田先輩と一緒に仕事ができるなんて嬉しいです」

「私も。高校時代を思い出すね」

「はい」

 私と村田先輩以外は全員男性だ。男性陣も知り合いと談笑をしていた。

 すると、会議室のドアが開き、副社長が入ってきた。一瞬にして、皆が黙り席に着いた。

「皆さん、硬くならずリラックスしていきましょう。これから一年間、新作の企画、デザインを考えていくチームなんですから」

 副社長が席に着き、全員が揃った。今日は会議というより顔合わせだ。

「今日、初めて会う人もいるでしょうから、お互い自己紹介をしましょう。では私から。今回のark新作企画デザインチームのリーダを務めます川島です。このデザインチームで仕事をしている間は、私のことは川島と呼んでください」と言って、副社長は微笑んだ。
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