副社長と恋のような恋を
 それぞれ腕時計を手に取った。どれも派手ではないが、細部にこだわりのある時計ばかりだった。

 メンズであれば文字盤に白蝶貝を使っている。これはレディース用の時計で、よく使われる素材である。最近はメンズでも使われることが増えている。そのきっかけを作った時計が目の前にあった。この時計を企画したの、副社長だったんだ。これは日本の時計愛好家の間でも人気になった。

 白蝶貝や黒蝶貝などの天然の貝を使う場合、産地や貝の種類によって光沢や色合いが変わってくる。同じ産地の同じ種類の貝だって違いがある。人間の兄弟が似ているが同じでないのと一緒のことで、天然素材の貝を使うことで、それぞれ表情の違う時計を作ることができる。

 レディースのほうは社長が手掛けたもの。その中にはクロノグラフがあった。クロノグラフはメンズのイメージが強い。もちろんどの時計メーカーでも扱っている、アパレルやバックなどを中心に扱うブランドメーカーでもクロノグラフは販売されている。ただ圧倒的にシンプルな腕時計のほうが種類は豊富だ。

 なぜレディースのクロノグラフが、メンズのクロノグラフに比べて少ないのか。それは腕の太さだ。男性に比べれば、女性のほうが細い。
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