副社長と恋のような恋を
 時計は定番イベントのときに売れる。卒業式に入学式、バレンタイン、父の日といったイベントは特に売れる。ジューンブライドもこれらのイベントに比べると売れ行きは落ちるが、結婚指輪の代わりに腕時計を買うというカップルも一定数いるため、それなりの売り上げが見込めるのだ。

「ジューンブライドでしたらペアウォッチがいいと思います。もちろん単体での購入も可能とうい形で」

 森本さんの言葉に村田先輩がいいと思いますと言った。

 過去に発売されたものにはペアウォッチはない。ジューンブライド発売に合わせても丁度いいし、コンセプトも決めやすいのではないかと思った。

「そうですね、arkでのペアウォッチはありませんでしたし、その方向でコンセプトを考えていきましょう。次回の会議の日時は追って連絡します。次回までにコンセプトを各自考えておいてください」

 副社長が会議室を出ると、山岸さんが勢いよく立ち上がった。

「あの、今夜、親睦会しませんか」

 大人しそうな山岸さんがテンション高めに言ったので、村田先輩以外は、少し驚いた顔で見ていた。

「急にすみません。皆さん、部署も違いますし、コミュニケーションを取る場を設けたほうがいいと思いまして」
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