絶対に守るから。
俺の鼓動がうるさくてすぐに気付けなかったけれど、彼女の体が思っていた以上に震えていたんだ。何かを耐えていたのかもしれない。でも、隠しきれていないくらいに震えはひどくて止まらなかった。俺が抱き締めていたからそれが気持ち悪かったんだと言われればそれで終わりなのかもしれない。けれど、俺には俺が怯えさせているようには思えなかった。

「ここでも誰も守れない・・・っ!」

「大丈夫です。俺がお側におります」

自分の無力さに涙を流す彼女をちゃんと見ていなかったみたいだ。誰かや何かを守る事に執着しているなんて知らなかった。執着させるような過去があるのかもしれないなんて想像もしてなかった。
惚れるだけ惚れて、彼女の事を何も知らない俺が彼女に出来る事ってなんだ。俺がしてあげられる事なんてあるのか。資格なんてあるのか。
< 11 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop