絶対に守るから。
彼女に気付かれないよう、願う方が間違っていたらしい。数え切れないほどの死を目の当たりにしてきたんだ。違和感を覚えない方がおかしい。なら、リオディナが亡くなった時に怯えていた理由は何だ。どうして怯えていた。彼女が怯える要素なんてなかったはずだろう。なのに彼女は俺の腕の中で確かに怯え、体を震わせていた。

「大丈夫。笑って?」

お嬢さんの大丈夫がとても心強かったのか、リオディナが亡くなってから初めて笑みを見せたカーレイジ。どうして笑えるのかは分からなかったけれど、お嬢さんが楽しそうなだけ良しとしよう。けれど、俺は誤った判断をしたのかもしれない。
今、ちゃんと止めていればお嬢さんが危険な考えを起こす事はなかったのかもしれない。お嬢さんの行動をちゃんと理解していれば、お嬢さんの考えをちゃんと把握していれば。俺が後悔する事はなかったのかもしれない。
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