絶対に守るから。
俺が着いてきた理由はどんな事態になっても耐えられるからじゃない。今ここでヘゥインと離れたらもう2度と会えない気がしたから着いてきただけなんだ。本当は現実を受け止める自信すらないんだ。
屋敷に入ってからしばらく歩いたけれど、他の部屋へ繋がる扉が何枚か見ただけで俺たち以外の人影は見当たらなかった。誰もいないのかもしれないと辺りを見渡していたけれど、ヘゥインは表情一つ変わらないまま。ただ前を向いて繋がる廊下をただ真っ直ぐ歩いていた。

「・・・っ」

屋敷の中には何があるんだろうと俺は唾を飲み込んだ。よく分からない不安が俺を掻き立てた。たぶん他の皆も一緒で、ハウラムの手はいつでも戦闘に入れるように武器に添えられていた。でも、警戒しているハウラムの姿に安心している俺がいるのも事実だった。一番若くて経験の少ない俺は絶対に足手まといにしかならないと思いながら着いてきていたから。
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