絶対に守るから。
もし最後の治療法を試しても起きなかったら、俺たちの希望は完全に無くなってしまう。ゾーラ医師が亡くなった今、新しい治療法も作り出せない俺たちには最後の1つを託せる勇気がない。希望が無くなる事が怖くてたまらないんだ。
今日は起きているかもしれない。明日は起きているかもしれない。もしかしたら俺たちが見ていない所で目を開けて笑っているかもしれない。何度も思ったけれど、どれだけ待っても彼女は寝言すら聞かせてくれない。寝返りすらうってくれない。指をぴくりと動かしてくれるだけでも構わないのに。

「まだ起きないのですか?」

「早く目を覚ましてくれないとまずい事になるわよ」

カーレイジの弟が見つかって殺されぬよう、見守っていてほしいとヘゥインから頼まれていた魔女。
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