絶対に守るから。
何も知らずに現れた人には夢と認識される。だから、例え夢に入ってきたとしても目を覚ましてくれないせいで気が滅入っているのだと思って気にしないのだろう。

「どうした?ヘゥイン」

「忘れられちゃった・・・っ」

悲しそうな、仕方がないと言いたげな。見ていられないくらい、本当に辛そうな表情をしていたんだ。同じ体にいたからなのか、彼女の言いたい事は表情を見ただけですぐに分かった。きっと城に帰った鬼のせいで色んな感情が混ざった表情をしているんだろう。
無理に笑おうとしていたけれど、無理をしたせいで逆に涙を誘ったのかもしれない。幼い子供のようにポロポロと涙を溢していた。何度も目を擦っては涙を止めようとしていたけれど、溢れ出る涙は嘘を吐かない。本当に恋していたんだ。本気であの鬼の事を愛していたんだ。
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