絶対に守るから。
お嬢さんの腕を決して信じていないわけではない。でも、信じていても愛していれば不安や心配は出てくるものだろう。自分が相手の傷付く姿を見たくなくて、止めさせようとしたり念には念を押そうとしたりするのは誰にでもある事だろう。
村の人たちを獣に乗せて家に帰っている時も考えているのはお嬢さんの事だけだった。命を狙われなかっただろうか。

「先に行ってても良いぞ?」

「いや、大丈夫だ。ありがとな」

気持ちが顔に出過ぎていたのだろうか。ウィルに気遣われるとは思っていなかった。いや、出会ってすぐのウィルなら言わなかっただろう。信頼できる相手がお嬢さんしかいなくて周りに強く当たっていたからな。自分以外の相手とお嬢さんを二人にするなんて許さなかった。
本当はとても頼りたい。でも、それではダメなんだ。
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