絶対に守るから。
二章・そばにいる者

どうしたら良い

脳裏に浮かんだのは心配よりも怖いの一言だけだった。この城としては大切な舞踏会らしい日の前日、ヘゥインが熱を出したんだ。何でも出来るゴブリンのおじさんは魔女にはよくある風邪の一つだと言っていたけれど、俺の母親は風邪だと言われていた病気で亡くなった。目の前で力尽き、息を引き取った。だから、せっかく家族以上に仲良くなれたヘゥインも母親と同じように死んでしまうんじゃないかと、心配より恐怖の方が先に出てきていたんだ。

「なぁ、お嬢ちゃん。本当に出るつもりか?」

昨日1日、眠っていたにも関わらず、症状が少しも良くなっていない。なのに、今日の舞踏会に出ようなんて無茶だ。座ってられもいないのに、高さのある靴を履いて暖かくもないドレスを着るなんて出来るわけがない。そもそも、会場まで歩けるかどうかまで危ういのにどうして無理をしようとするんだ。どうして自分を大切にしてくれないんだ。
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