絶対に守るから。
「吸血鬼だけが住む町にはあなたのお母さんと1度、行った事があるわね?ロクッツはそこにいる私の知り合いに育ててもらう。あなたはどこか行く宛はある?・・・なら、ここにいると良いわ。私一人じゃ広すぎて困っていたの」

俺は渋々ではあったけれど、ロクッツと離れる事に頷いた。ロクッツを守るためなら仕方ないんだって、兄だから我慢しなきゃって思って。でも、俺の行く宛に関しては頭を横にしか振れなかった。ちゃんと考えてみれば育ててくれる宛だってあったはずなんだ。でも、彼女から離れたらロクッツとも二度と会えなくなってしまう気がして怖かった。
俺の我が儘に、彼女は嫌な顔一つしなかった。心の中でロクッツと会うために一緒にいたいと思っていた事を気付いていたはず。なのに、彼女は優しい笑顔でそばにいる事を許してくれた。だから今も一緒にいるんだ。いつかロクッツと会うために。
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